「うん、だいぶ表情もほぐれていい感じだね」
撮ったばかりの写真がたくさん並んだモニターを、
麻美と一緒に覗き込みながら、
マネージャーの久我山が微笑んだ。
その日は宣材撮影で、事務所が契約してるスタジオに、
マネージャーと一緒に来ていた。
宣材写真というのは、いわゆるプロフィール写真のことで、
麻美は初めてその言葉を聞いたとき、洗剤?写真?と、
?がぐるぐる頭の中を駆け巡ったが、
そんな1か月前のことが少し懐かしいような、
クスっと笑ってしまうような気がしていた。
麻美は、高校を卒業してすぐに、
東京にある、たくさんあるAVプロダクションの1つに入った。
なぜ麻美がAV女優になったのかは、
説明すると長くなるが、
とにかく麻美は18歳でAV女優になったのだった。
その日--宣材撮影の日--は、
マネージャーの久我山と午後1時、
JR山手線のとある駅で待ち合わせ。
AV事務所に入ったら、
何はなくてもまずは写真がないと何も始まらない。
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