第1713話

しかし、

その胸のざわめきは、

無残にも

すぐに打ち消された。


やっぱり、

久我山からの連絡は、

届いていなかった。


がっかりする気持ちを

誤魔化(ごまか)すように、


母親宛に、

これからタクシーで帰る、と、

短いメッセージを送った。


バスの来ないバスターミナルは、

異様なほどに静かで、

時おり、駅前通りの方から、

行き交うクルマのエンジン音が

低く聞こえてくるだけだった。


麻未は、スマホを鞄の中に戻すと、

どこを見るわけでもなく、

あたりの景色に視線を泳がせた。


心地よい夜風が、

時おり麻未の髪を撫(な)でている。


先頭に並んでいサラリーマンが、

音もなく静かにやって来たタクシーに

体を滑り込ませると、

タクシーはまた、音もなく動き出した。


麻未の隣でベンチに座っている、

20代後半から30代前半ぐらいの女性は、

ひたすらスマホと睨(にら)めっこだ。


麻未はまた、

久我山のことを

考えてしまった。








物語のあらすじ


とうじょうじんぶつ


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posted by m☆ at 19:15Comment(0)日記