第1712話

そのため、

交通の便 ーー 移動の便 ーー の良し悪しを、

感じる機会がそもそも少なかったのだ。


それでも、

四季折々の色彩を見せてくれる、

街路樹や木々、植物に囲まれた、

静かで、優しく穏やかな環境は、


のんびりした麻未の性格に合っていたのか、

麻未は、心地よさを感じていた。









タクシー乗り場には、

麻未の前にふたり並んでいた。


スーツ姿のサラリーマンらしき男性と、

麻未より少なくとも5〜6歳は年上に見える、

20代後半から30代前半ぐらいの女性だ。


ふたりとも、

手にしたスマホの画面を見つめながら、

せわしなく指を動かしている。


タクシー待ちの暇つぶしに、

ゲームでもしているのだろうか。

それとも、

家族への、連絡だろうか。


タクシー乗り場の硬いプラスチック製の、

半分ほど空いていた簡易ベンチに腰かけ、


麻未も、思い出したように、

鞄の中のスマホを探(さぐ)った。


ほんのかすかな期待を胸に、

スリープモードを解除する。


小さな胸が、

また、ざわつき始めた。








物語のあらすじ


とうじょうじんぶつ


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posted by m☆ at 19:25Comment(0)日記