第1711話

遅くなる時はタクシーを使いなさい ーー

母親からの教えだった。


駅周辺には、コンビニや大手スーパーなど、

夜になっても、それなりの往来があるが、


住宅地、つまり自宅に近づくと、

コンビニが距離をおいて数店あるだけで、

人影は途端に少なくなり、

代わりに、あたりは静けさに包まれる。


住環境としては申し分ないこのエリアも、

女性がひとりで夜道を歩くには、

少なからず危険が伴うのも無理はない。


特に治安が悪いというわけではないが、

用心するに越したことはないのだ。


タクシー代は後で払うから、

バスがない時間に帰って来る時は、

きちんとタクシーを使いなさい、



と、母親からは、

いつも言われていた。


駅から家までの距離が少し遠いのは、

不便と言えば、それまでなのだが、


麻未は、

それほど不満を感じたことはなかった。


そもそも、

中学はほぼ不登校で過ごしてしまったし、


高校も通信制高校だった麻未は、

毎日学校に通う、

という行為そのものを経験していない。







物語のあらすじ


とうじょうじんぶつ


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posted by m☆ at 19:18Comment(0)日記