無口で麻未には無関心な兄、
いつまでも子供のままの同級生、
卑猥極まるの男性教師。
麻未のまわりに存在してきた男たちは、
気に入らなければ暴力を振るい、
立場を悪用してカラダを求めてきた。
誰ひとりとして、
麻未の気持ちを理解しようともせず、
ただ、己(おのれ)の欲求だけを満たそうと、
麻未を利用しようとする者たちばかりだった。
それ以上に、
本当に気づいていなかったのか、
見て見ぬふりをしていたのか、
いじめや虐待はいけないと、
声高に弁舌(べんぜつ)を振るうわりに、
そのすぐそばで起きている現実に、
誰も、手を差し伸べてもくれず、
寄り添うこともしてくれなかった
他の大人たちに、絶望した。
麻未を、自分の殻に閉じこもらさせ、
言葉を発することを拒絶させるのには、
十分すぎるぐらいの仕打ちだった。
それから5年の月日が過ぎ去り、
悪夢のような出来事の記憶も、
少しずつ薄まり始めた18歳の春。
そんな時に出会ったのが、
AV事務所の営業、
現在、麻未のマネージャーである、
久我山だったのだ。



物語のあらすじ



とうじょうじんぶつ



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