肩こり、という言葉が存在しないらしい。
肩こり、という症状自体が無いからだ。
存在しないものに、
それを表現するための言葉が無いのは、
考えてみれば当たり前だのことだ。
人は、言葉が存在して始めて、
その物事を認識できるらしい。
では日本語から「肩こり」をなくしたら、
肩こりで悩む日本人もいなくなるのだろうか。
もちろんそれは、
あまりにも現実的ではないが、
その物事を表現する言葉が無いというのは、
その物事の存在自体が無いのと同じなのだ。
言葉に出来ない気持ち ーー
言葉に出来ないのなら、
その気持ち自体も存在しないのだろうか。
いや、絶対にそんなことはない。
自分の気持ちは、
自分の心の中に確かに存在する。
うれしい、かなしい、
たのしい、さみしい、
わくわく、イライラ、
……………、
言葉に出来る気持ちもあれば、
言葉に出来ない気持ちもある。



物語のあらすじ



とうじょうじんぶつ



第1話から読む