比べものにならない程小さな、
駅の地下駐車場から出てくる車や
タクシーやバスの駅前ロータリーの出口と、
新宿通りとか交差するだけなのだが、
車両を一斉に止める方式の、
スクランブル交差点となっている。
スカウト通りのある側からは、
まっすぐに渡って、
駅方面へと進むことも可能であるし、
山手線をくぐり、
新宿西口へと向かう地下道方面へと、
斜めに渡ることも可能だ。
秩序なく、直進する人波と、
斜めに渡る人波が交錯する。
そこに混じって、
客引きやスカウトマンが、
容赦なく声をかけてくる。
通行人の迷惑を顧(かえり)みない、
その貪欲(どんよく)な商売根性は、
見上げたものと言えばそうなのだが、
やはり、急いでいる通行人にとっては、
迷惑以外の何ものでもないのだ。
ぼんやりしていると、
ぶつかったり、飛ばされたり、
まっすぐ歩くことさえ難しい。
「あ、莉緒さん、こっちから行きましょ、」
「あ、うん、」



物語のあらすじ



とうじょうじんぶつ



第1話から読む