第1723話

麻未はくるりと向きを変えて、

母親の前から逃げるように、

2階の自分の部屋へと階段を登った。


自分の部屋のドアを開け、

後ろ手に、ドアの鍵を閉めた。


麻未の手の中で、

鍵の閉まる小さな音がしたのを確認して、

麻未は、深い息を吐いた。


自分だけの空間に戻れて、

やっと少しだけ落ちついた。


母親に声をかけられた時は、

股間をぐっしょり濡らしている

いやらしい身体をした自分を、

見透かされてしまうのではないかと、


決して、そんなことは

あり得ないと分かっているのに、

焦る気持ちでいっぱいだった。


自分の部屋に戻って、

落ち着きを取り戻すと、


母親の大きな優しさの前では、

そんなことを気にする自分が

とても小さな存在に思えて、

逆に恥ずかしくなってしまった。


肩から下げたショルダーバッグを、

そのまま床にぽとりと落とした。

そして、履いていた

スカートのサイドジップも下ろした。


花柄のロングスカートは、

するすると床の上に落ちて、

麻未の足元に、

ドーナツ状の円を描いた。







物語のあらすじ


とうじょうじんぶつ


第1話から読む
posted by m☆ at 19:23Comment(0)日記

第1722話

早足で歩き、

自宅の前に、

ようやく到着した。


家の門をそっと開け、

駐車スペースをすり抜けて、

玄関までたどり着いた。


鞄から、家の鍵をまさぐり、

玄関のドアをそっと開ける。


家族は皆、

もう寝ているかもしれない。


音を立てないように、

そっと内鍵を閉めた。


靴を脱いで、

そのまま自分の部屋のある

2階へ上がろうとしたとき、

居間の方から声が聞こえた。





「おかえり、」




麻未の帰りを待っていたのであろう、

母親の、優しく小さな声だった。




「ただいま、」




麻未は、

母親のいる居間に顔を覗かせて、

小さく返事をした。





「遅かったのね、」

「あ、うん、」

「ご飯はちゃんと食べたの?、」

「うん、」

「いちお、あるけど、」

「だいじょぶ、ありがと、」

「鍵、閉めてくれた?、玄関、」

「うん、閉めたよ、」

「じゃ、お母さん、寝るわね、」

「うん、」

「あんまり夜更かししないで寝なさいね、」

「うん、…………、おやすみなさい、」

「おやすみ、」







物語のあらすじ


とうじょうじんぶつ


第1話から読む
posted by m☆ at 19:16Comment(0)日記